中学校の先生のホンネ

サラリーマンから公立中学校の先生に転職した私が、現場の実際のところや日々感じること、思うところをまとめていきます。これから先生になろうと考えている人、現場の先生がただけでなく、学校と何らかのかかわりのある全ての方に読んでもらえたら嬉しいです。

「夏休み、先生は暇でいいなぁ!」『部活が忙しいんだよ…』のウソ・ホント。先生たちの夏休み

日本全国で猛暑日が続いていた今日この頃でしたが、今日はちょっとだけ気温が下がりました。そうはいっても、まだまだ真夏。運動部の顧問の先生方、本日もお疲れ様でした。かくいう私も、その一人。仕事でありつつ、半分は趣味、と思ってやっていますので、そこまで苦ではないですが…。

 

全国の学校で、7月の下旬から夏休みに入っています。こんな時、学校の先生たちは何をしているのでしょう?

 

おそらく「部活動やってるんでしょ?」とお思いの方も多いと思います。正解です(笑)。でも、それだけではありませんよ。フッフッフ…

 

 

と、引っ張ってはみたものの、多くの時間を部活動に割くことにはなります。そういう先生が多いと思います。この記事では、部活動以外のお仕事を、いくつか見ていきましょう。

 

※やっている先生と、そうでない先生がいます。あくまで「夏休み中、どんな仕事をしているのか?」という点だけです。

 

 

①夏休み明けの授業の準備

2期制(前期・後期)の学校の場合、夏休みが明けると2~3週間くらいで前期の期末試験がやってきます。定期試験までの授業のスケジュールを逆算して考え、仕事に余裕がある人は早々と試験問題を作ってしまいます。同じ学年の数学の先生は、今日の時点で「もう前期期末試験できたよ♪」とドヤってました(笑)。

 

 

②連絡票(あゆみ?通信簿?)の作成

これも2期生の学校に限ります。私の知る範囲では、2期制の学校はたいてい10月のどこかが前期と後期の境目になっているかと思います。となると、期の終わりですから、連絡票を生徒に渡すことになります。

 

54321の数字をつけるにも、提出物や小テスト、ノート、授業態度などを点数にし、どのくらいの割合で成績に加算していくのかなどを整理し、ある程度Excelで処理しておくのです。あとは、学校が再開したら、その分だけ追記すれば9月にあわてなくて済みますからね。

 

この数字の部分は大したことないのですが、問題なのは「所見」と呼ばれるコメント欄。「計算を頑張りましょう」とか「おしゃべりを減らして、授業に集中しましょう」とか、見覚えありませんか?(笑)

 

このコメント、学校の規模によっては地獄の事務仕事です。私が在籍する学校は1学年4クラスですが、国が指定する1クラスの上限人数40人ギリギリ。学年全体で160人います。彼ら彼女ら1人1人に向けておおよそ30文字くらいでコメントを書くわけですから、それはもうエグいです(笑)。

 

ただし、生徒によって学習状況の実態が近しい生徒もいますので、多少は書く文言も似通ってきます。コピーペーストの嵐になっている先生もよくいます(笑)。でも、生徒の成長のために書くわけですから、コメントが実態に伴っていればそれでも良いと、私は思います。大事なのは「生徒の成長を支援できているかどうか」ですからね。

 

そのコピーペーストすら使えないのは、学級担任が生徒に書く「行動所見」です。「明るく前向きな態度で学校生活を送りました。また気持ちが優しく、学習が遅れているクラスの仲間を気遣って声をかける姿もみられました。・・・」などなど。私はこっちを夏休み中に手をつけています。すでにクラスの半分以上の生徒をほぼ書き終えました(ドヤッ!笑)。

 

 

③研修

これは自分が受け持つ教科もそうですが、特別活動指導(委員会活動や学級経営など)や生徒指導、道徳教育(今は学校で担当教諭がいます。近い将来教科化されても、この体制は変わらないと思います)の担当の先生は、それらに類する講演を聞きに行ったり、ワークショップなどに参加します。

 

これも必ず行かなければならないものもあれば、自由参加のものもあります。ですから、勉強熱心な先生はガンガン参加して、自分のスキルを高めていきますし、やる気のない先生は全く参加しないということも少なくありません。

 

 

④小中連携

簡単に言うと「小学校と中学校でやっていることをお互い理解して、より生徒の学びを支援しよう」ということです。今はこれを進める動きが活発です(私の所属する自治体だけかもしれません)。

 

小学校は夏休みに部活動がありませんので、先生方とディスカッションをします。小学校の先生は中学校に、中学校の先生は小学校の先生に「求めたいこと」などを伝えたりします。

 

ただし、私の学校ではこれがあまりうまくいっていないような気がします。小学校と中学校では、あまりに「文化」が違いすぎるからです(これについては別の機会に記事にしたいと思います)。

 

 

⑤お祭りの巡回

地域で行われる夏祭りに行き「わるいこはいねーがー!!」と先生たちが金棒を振り回す活動です(笑)。先生たちで手分けして、各団地のお祭りに顔を出し、自治会長さんに挨拶したり、出店の手伝いをしたりすることもあります。

 

 

⑥健康診断

この時期だけではないと思いますが、仕事にさほど支障が出ないので夏休みに行く人が多いように感じます。というか、これは仕事ではないですかね(笑)。

 

 

⑦部活動

ようやく出ました部活動(笑)。これも先生によって業務負担にはかなりの差がありますし、

bukatsu1234.blog.jp

の方のように、強い思いがあって顧問を固辞される先生もいらっしゃいます。

 

上記のブログでも書かれていますが、学校に所属する先生全員が顧問になる「全員顧問制」が取られている学校が多いです。

 

ですが、この全員顧問制も実態は伴っていないことがほとんどだと思います。名前が入っているだけで、結局は、メインで見る先生がいて、何もしない先生がもう一人います、みたいな部活動が多いです。2人や3人で相談しながら、協力してうまく活動をしている顧問の先生チームも、少なからずいます。

 

運動部の場合は、そのスポーツに特別な思いが有ったり、たとえばサッカー部なら「俺はパスをつないで中央突破したい!!」「私は堅守速攻!ロングボールを放り込んでいきたい!!!」という2人の顧問がいたら、ケンカするのは目に見えています(笑)。どちらかがおおらかな心を持って、チームを作る必要がありますね。

 

ですから、

 

メインで見ている顧問の先生、もしくは顧問がその部活に1人→忙しい

顧問になっているけど、メインではなくサポートのみ→忙しくない

顧問はしていない→暇(笑)

 

ということです。

 

 

⑧教育課程などの特別な仕事

学校で行う授業は、各自治体が出す「学習指導要領」に基づいて作られています。教科書もそうです。この指導要領は、完全なトップダウンではなく、現場の意見も反映されていきます。そのための打ち合わせを行ったり、意見を集約したりするのも、現場でクラスや授業、部活動を持っている先生です。もちろん全員ではありませんけどね。

 

また、学校で使われる教科書は一般企業が作成していますが、その内容の精査にも現場の教員が当然かかわっています。このように、現場の教員は、学校での仕事もしながら校外の仕事も兼務していたりします。

 

 

⑨その他、事務仕事など

授業がある時にできなかった事務処理などをします。たとえば、来年、再来年に行く修学旅行や自然教室の計画や、文化祭の準備、職業体験の申し込み及び打ち合わせなど、書き出したらキリがありません。役所が行う、子どもたちの地域貢献活動の引率などもあります。

 

 

思いつくものはだいたい書いたのですが、いかがでしょう?現場の先生方で読まれた方がいらっしゃいましたら、補足・訂正をお願いします(苦笑)。

 

 

 

さて、ずいぶんたくさん書いたので「おぉ、なかなか忙しそう!」と思った方もいらっしゃるでしょう。そこのアナタ、騙されていますよ(笑)。何かというと、実際のところ、時間に換算すれば、夏休みの40日間フルタイムで働かなければならないほどの仕事量ではないことが多いです。

 

たとえば、私の場合は部活もメインで見ています。運動部ですので、今日も日曜ですが、暑い中グラウンドに立ち指導をしてきました。平日も同じです。朝から昼過ぎくらいまで練習して、職員室でカップめんを食べ(笑)、1時間くらいボーっとして、、、帰ります(汗)。家に着くのは、平日だというのに午後3時ころ。そこから買い物にいったり、ジムにいったりすることもあります。先日は「ほけ〇の窓口」に行きました(笑)。20代の若い先生に多い生活パターンだと思います。

 

以前同僚だった先生は、夏季休暇と貯めこんだ有休を組み合わせて、夏休み中、1日も学校に来ずにヨーロッパに行っていました(笑)。あまりに極端ですが、こういう先生もいるのです。

 

 

 

最終的にまとめると、「先生たちの夏休みは、先生によってその実態は千差万別」ということです。うらやましいくらい暇な人もいますし、可哀想なくらいに汗水を流している先生もいるのです(泣)。

 

部活動の顧問については、本記事で言及した場合分けにとどまりません。メインの先生の指導方針や部活を取り巻く環境によって負担は変わります。この話をしようとすると、ますます話が長くなってしまうので、本記事ではこのあたりで止めておきますね。

 

夏休みも忙しい生活を送っている先生がたは、くれぐれもご自愛ください。

 

本日も最後までお読みいただき、ありがとうございました!