中学校の先生のホンネ

サラリーマンから公立中学校の先生に転職した私が、現場の実際のところや日々感じること、思うところをまとめていきます。これから先生になろうと考えている人、現場の先生がただけでなく、学校と何らかのかかわりのある全ての方に読んでもらえたら嬉しいです。

すべては時間との闘い。「授業を改善したい」という想いと、言い訳がましい現実。

世間では4日より仕事始め、という企業が多いようですね。学校、ことさら私の勤務校では7日から授業再開です。

 

「いいなぁ…」と民間企業で働く妻にも言われますが(苦笑)、部活動は4日から再開しています。「部活動だけじゃん…」とも言われますが(汗)、7日から始まる授業の準備で職員室は半数くらいの職員は出勤していました。

 

じゃあ残りの半数は?というと、部活動も授業もない、という人は有休をとってゆっくりお休みされています。汗。幾度となく授業を繰り返されてこられたベテランの先生は、準備の必要もないみたいでゆっくりされています。それが現実です。

 

時代の変化に合わせて授業スタイルを変えなければ、という意見がある一方で、高度経済成長を生み出したのは日本型教育だ、と言わんばかりに旧態依然とした授業を好む先生もいらっしゃいます。どちらが正義かはわかりませんが、現場は混沌としているものです。どの学校でも、これは同じだと思います。私含め、教師はガンコですから。笑。

 

 

そんなカオスな環境・職員室で、冬休みに出勤されている先輩先生と話をする中、授業スタイルの改革について井戸端会議をしていました。先日の記事に書かせていただいた「集団の学力が中央値に寄ってきている(トップの学力が落ち、底上げがされつつある)」という課題を解決するための話し合いです。

 

その中で、昨今話題になっている、アクティブラーニング(以下AL)型の授業を取り入れてはどうか?と助言をいただきました。確かに、今の私の授業スタイルはプリント学習を中心とした授業。生徒実験の数は比較的多く、化学の分野ではどの学年でも2回に1回は実験するくらいですから、少なくはないと思っています。実験は実験でALなのでしょうが。

 

※ちなみに、長崎大学の大学教育イノベーションセンター教授である山地先生は、アクティブラーニングの形態を以下のように整理されています。

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こうして整理してみると、本当に多様な形がありますね。

 

2012年の中教審答申では「学修者が能動的に学修することによって、認知的、倫理的、社会的能力、教養、知識、経験を含めた汎用的能力の育成を図る能動的学修」と定義されています。生徒がすすんで学ぼうとしていれば、それはALだ、とも取れますね。

 

私の現在の課題がALで解決できるのかはわかりませんが、いずれにせよ改善は必要だと思っています。昨年と同じような授業方法でやっているのに、今年の生徒集団ではそれだとトップが伸びない。そういう集団なのかもしれないのですが、私の授業に責任があるのではないか、と疑問に思うことは大切なはず。しかし、ここで例の部活動問題が顔を出してくるのです。

 

授業をよりよくしようとすると、行きあたるのは「時間」の制約です。授業の準備には、1時間に対して30分で終わらせることもできる(=特に工夫もなく、淡々とトークとチョークで教える授業)し、何時間もかけて準備をすることもできます(=生徒の理解度を引き上げるために工夫を凝らした授業)。もし後者の場合は、部活動によって時間を奪われてしまい、結果的に授業の質を低下させているわけです。

 

私が理科の授業を行っていく上で課題になるのは、現代の理科教育に求められる「思考力の向上」に他なりません。私の勤務校がある自治体では、高校入試の出題傾向が数年前から大きく変わりました。中学校の学習指導要領で学んだことを「活用」すれば解ける、と言いたいのか、前年度は今までに見たこともない問題ばかりが出題されました。これまでの知識詰込型の教育からの転換を中学校に突き付けられたような気持ちです。

 

だからといって、教育課程が変わったかと言えばそうでもなく、教科書の内容がそっちよりになった(もしくは、そういう傾向のある教科書会社に移行した)というわけでもありません。

 

話がそれてしまったので戻りますが、、、学力の高い生徒が、そこからさらに伸びない理由が「学習内容を応用する力の欠落」によるものならば、それをはぐくむための授業に転換しなければならない、という課題にぶち当たります。

 

じゃあそのためにどんな授業方法が考えられるかと言えば「学び合い」や「話し合い活動(グループワーク)」「反転授業」「ポスターセッション」「実験分析レポート」なのかもしれないのですが、知識理解として暗記しなければならないことがある以上、それはそれで補てんできる何かを用意する必要があるわけで。

 

教科書を使って(参考書?辞書?がわりにして)予習をさせてから授業に臨ませる「反転授業」は面白いし、年間の学習指導内容をカバーするという意味では充分に可能な話です。が、果たしてそれが準備できるのか。学習習慣のない生徒がついてこれるのかという、全体を見ると実現が難しいように感じます。すべてを取り換えるのではなく、部分敵に導入していく形を模索していく。そんな風に考えています。

 

また個人的な話ですが、これから子どもが生まれようとしていて、私が家にいる時間を増やさねばといっているこの年に、授業の形をガラリと変えるのも少し不安です。準備にも膨大な時間が必要ですし、家事にも多くの時間を割くことになると思います。

 

一方で、だからといって仕事のクオリティを下げる(向上させない)わけにもいかない。程度の問題なのでしょうが、子どもが生まれるから家事をしなければならない、だから仕事のクオリティは下げます、という話は、世間一般から見てまかり通るものなのか。おそらくまかり通らない企業の方が多いような気がします。

 

部活動を行うことで授業の準備ができず、結果、これまで通りのやりなれた授業をしぶしぶやる。営業マンに置き換えると「アポは取ったけど提案内容がクライアント向けに出せるものではなく、汎用的な営業資料にとどまって刺さる提案ができない」という状態にすごーく近いです。苦笑。この提案では、なかなか数字にならないじゃないですか。今の教員の現状ってこんな感じなんです。

 

部活動も学級指導も教科指導も校務分掌(学校を動かす仕事)も全部120%クオリティで仕事を納品することは、時間的に難しい。もし今の私が部活動の顧問を外れたら、教科指導(授業)の質を上げる自信があります。授業スタイルを改革するための「教材研究」に時間を充てられるからです。

 

だからといって、部活動を言い訳にもしたくないのです。なんだか悔しくないですか?「Aという仕事があるから、Bという仕事は雑になってしまいます。だからAはもう仕事から外してよ!」という主張です。優先順位で考えれば授業が最優先なのでしょうが、生徒の安全確保だって教師の義務ですから、その部分で手は抜けませんし…うーんでも言い訳っぽいのも嫌ですし…

 

とにかく今は、限られた時間の中でできるだけ質の高い授業をするために勉強するのみ。私は最近コレを買いました。

 

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・・・回し者でもなんでもないですよ!?笑。

 

具体的な実践も載っているような目次でしたので、A〇azonでぽちっと買ってしまいました。今から到着が楽しみです。

 

 

 

なんやかんやと話がそれましたが、課題が山積み。来年度の授業、どうしようかなぁ…と、新年早々から途方に暮れるのでした。