問題はあるけど、好きでやっている。”部活動問題”とは何なのか?
年末になり、仕事納めとなりました。
部活動は一昨日で早々に年末休暇。年明け1月からすぐに公式戦があって休んでいるわけにもいかないのですが、休む時は休む。このメリハリをきちんとコントロールしないとこっちも生徒も疲弊してしまう。なんせ、昨年は年末最後の練習試合で歯を折るという事故にあい、散々な目にあっただけに、年末ぎりぎりまで頑張るのはちょっと気が引けます。汗。
年賀状を書いたり、家の中を掃除したり、ちょっと夕飯で新しい料理にチャレンジしたり、2か月後の引っ越しの準備をしたり、ひたすら池井戸作品を読みふけるなど、普段できないことをたくさんして、新年度への英気を養いたいと思います。
土日は、部活動でかかりきりでしたから、何もない日、というのが本当に1年振りです。笑。最近では、その教員の状況について警鐘を鳴らす方が出てきたようで…
話題になっているのは、このブログ。
一通り記事も拝見させていただきました。こちらに合わせて、最近はこんな記事も見つけ興味を引かれました。
Yahoo!ニュースでも類似の記事が先般取り上げられたばかりで、教育業界では一定の注目を集めるようになってきたように感じさせられます。「部活動問題」です。
※そんな問題よく知らないよ!という方は、下に進む前に真由子さんのブログをお読みくださいね。
この件は、何も今に始まったことではないと個人的には思っています。昔から教員はそういう環境の中で仕事をし、当の教員たちも「ちょっとおかしいな」と思いながら、それでも子供は好きで、子どものためなら…といった良心で部活動が運営されてきたのでは、と思っています。
それでも、今になって話題に上るようになったのは以下の3点、
①ネットの普及により少数派の表面化が容易になったこと
②「ライフワークバランス」「ブラック企業」という言葉が一般に浸透したこと
③”現状に異を唱える活動”が世論に一撃を与えることができるとわかったこと
これらが大きな要因かと思われます。
①は、言わずもがな、このようなブログによる個の意見発信が容易になったこともそうですが、ネット上に意見を集めるサービスなどの「しくみができたこと」が大きな要因かと思っています。
真由子さんのブログ記事にもリンクが出ているこのサイトは、まさにその典型です。
他にも、最近では資金援助を募るサイトも出てきています。
これらのサイトは、少数派と思われていた意見を数字で表面化することもでき、わかりやすくPRすることができます。
昔はこれほど「簡単に」「(意見を発する際は誰に見られることもなく)匿名で」「意見を集め」「伝える」ことができるツールがなかったですから。署名運動だって紙で集めて、それだけで大変。しかも書くとなると職員室で書くので、派閥があれば書きづらい。しかも書き終わった後、どの程度集まったかという途中経過は勿論見えませんから。今のしくみがどれだけ発達したかがよくわかりますね。
②も部活動問題にスポットが当たる大きな要因かと思います。
どんな仕事でも「忙しい」「疲れる」「大変」なのは当たり前です。教員だけが忙しいわけでも疲れるわけでも大変なわけでもない。ですが、ここ最近は教員の多忙感への理解が得られつつあるような気がします。
部活の顧問を強制されて教師が疲れ切っている。 授業準備などの,本来の仕事が圧迫される。 教師もツラい。生徒にも不利益。 画像を作りました。 署名の必要性をわかっていただけたら幸いです。 https://t.co/YsO0c9mrx0pic.twitter.com/sRFnWn79TW
上記リンクの画像も大変わかりやすいです。こうして客観的に見ると、よく大した文句も言わずに自分は働いているなぁと感じます。笑。
もちろん、民間の企業で働くみなさまだって、同じようにサービス残業をしている方がごまんといることは承知しております。教員だけそんなこというのズルイぞ!!というのもごもっともですが、それならそれで、給与の在り方、残業の在り方などを全国的に根本から変えねば、という議論になります。
となると、まずは公務員のしくみから変える。そして「公務員がこうしてるんだからお前らもこうしろー!」というのが国が通すべきスジでしょう。つまり、教員がこうした問題に異を唱えることは、ひいては民間ではたらく方にもなにがしかのメリットが享受されるはずです。
これを読んでいる教員ではない方も、ぜひご興味を持ってもらえたらと思います。
③で一番わかりやすいのは「SEALDS」の活動です。学生が主体となって政治に意見し、再三にわたるデモ活動によってついに代表者が国会の場に立って発言するほどの影響力を持ちました。
こうした事例があるだけで、劣勢に立たされる側の人間にも活路があるのでは…という期待感や勇気づけには充分。原動力となるでしょう。
・・・と、ここまでは「部活動問題」が話題になった現状の分析です。ここからは、「部活動問題」は実際に現場ではどうなのか?という、本ブログのスジである「ホンネ」をまとめていきます。
まず、部活動顧問が強制なのか?という点についてです。本校では強制です。全員顧問制といって、必ず何かの顧問に就かなければならない、と管理職が定めました。あくまで管理職であって、教育委員会からの通達ではありません。
私が知人から聞く限りでは、学校により差がありますので、ここは管理職次第です。
一方で、全員顧問制といっても、やはりメインの顧問とサブ(ほぼなにもしない)顧問がいますので、生徒の活動に従事している職員は全体の半数を下回っている状況です。メインの顧問の先生でも、外部講師に任せ、自分は職員室で・・・という方もいらっしゃいますから。
管理職は、その外部講師だけに任せている●●部の今の状況を良くは思っていないのですが、管理職にその教員を厳しく指導する力もないので、現状ではほったらかしの状況です。その被害を受けるのは生徒なだけに、本当にかわいそうで仕方ありません。私にできることは、その子たちから愚痴を聞く程度のもの。当該顧問に訴えもしましたが「私は絶対にやらない」の一点張りです。うーん、どうしたものか…
次に、部活動指導の給料についてです。
無給、という表現をされる方もいらっしゃいますが、厳密には勤務時間外の部活動指導には一定の手当てが出ています。ただし、これは自治体によって異なるようです。
私の場合は、平日17:00以降の部活動指導を1時間以上行った場合、300円/回の給料が発生しています。週5日行えば1500円です。1時間なら時給300円ですが、それ以上の時間行っても300円です。
また、休日は連続して4時間以上の部活動指導であれば2800円/回が支給されます。これも丸1日練習試合をしてもこの金額です。しかも、練習試合などの遠征でかかる交通費は支給されません。遠方に行った場合は、交通費と昼食代でチャラになってしまいます。
これでは、色々と文句が出ても致し方ない、とは思います。私のようなブラック上がりの人間からすれば「給料もらえるだけましじゃん!!」と思ってしまうので、正直文句はありません。苦笑。
こうした現状を踏まえて、「部活動問題」に対する私のヒジョーに個人的な考えは「変えられたら変えたいけど、別にこのままでもいいんじゃね?」ということです。
先ほど紹介した真由子さんのブログからも跳べますが、こんなサイトがあります。部活動のリスクについて紹介したHPです。
http://www.geocities.jp/regards_to_risk/Return.html
このリンクは、部活動で得られるリターンについて語られています。ここに書かれていることは私も同意できます。
それによって起こるリスクについても承知の上ですが、現状で問題になっているのは世論が変化したことで部活動というシステムが受け入れられなくなってきているというだけの話だと思っています。
部活動そのものに対して否定的になる必要は全くなくて、どちらかというと雇用する側・される側の折り合いをどうつけるか、という話です。
今、一番マズイのは
①教育課程から部活動がはじき出されていること
②部活動指導が教員の仕事である、と明言されていないこと
③部活動指導に対する手当の在り方が時代にそぐわないこと
の3点だと思うのです。この3点がクリアになっていれば、はじめからこんなに揉める必要もなかったでしょう。
では、これらが改善されていないのに、ほったらかしにしておいていいのか、といえば答えはノーです。ですが、この仕組みの改善に労力を割くくらいなら、目の前の生徒たちとたくさん話していたいというのが、私の身勝手な意見です。ホントごめんなさい。汗。
私は自分自身がそこまで優秀ではないことを知っています。なんでもできると思っていません。今回の部活動問題で世の中を変えよう、という方にはぜひ頑張って頂きたいですが、関わろう、力になろう、という気にはあまりなりませんでした。何せ、私自身があまりしんどい想いをしていませんから。苦笑。
部活動問題は、理屈の部分では非常に不可解な点が多いのは事実だと思います。でも、ホンネをいえば、部活動をやっている顧問を見ていて、そこまで嫌がっている顧問を見たことはありません。本気で嫌がっているのは外部講師の方に任せている●●部くらいです。みんな教師ですから、根本の部分では子どもたちが好きなんですよ、やっぱり。国に良心をうまく利用されている、と言われても、それがわかっても、それでもいいと思うのが教員なんです。
私自身も大変は大変ですが、原田教育研究所の原田さんが仰っていた「仕事と思うな、人生だと思え」という言葉の通り、教師は仕事ではなく、人生だと思っています。だから、これでお金がもらえること自体がありがたいことだなぁと思っています。
部活動問題は今後も話題に上ることと思いますが、ぜひ博識な方々で議論を交わしていただき、一人でも多くの教員が納得のいく制度を作り上げていって下さることに期待して、私は一日一日を大切に子どもたちと成長していきたいと思います。